私が育ったのは「ハイドパーク・ミュージック・フェスティバル」（以下HMF）の会場である狭山市の隣。

家ではFEN（米軍のラジオ局）が流れ、基地の一般開放日には家族で遊びに行くこともあり、この土地での暮らしを通して、子どもながらに海外の音楽や生活スタイルに憧れを抱いていました。

小学生になった私は、YMOに出会い夢中になります。
当時はっきりと意識していたわけではありませんが、彼らの音楽が日本発信でありながら、世界中の音楽要素を存分に孕んでいたところに強く惹かれたように思います。このときから音楽への興味は尽きることがありません。

さらに成長すると、生の音楽に触れたくなり、さまざまなミュージシャンのライブへ足を運ぶようになりました。気づけばそのLIVEの多くを手掛けたのはHMFのプロデューサーでもある麻田浩さんでした。

このように、私の人生に大きな影響を与えたのは、狭山のハイドパーク周辺の環境と、そこに関わった人々にほかなりません。

今回HMFが再開されると聞き、「必ず会場に行って、あの時代の空気を肌で感じるのだ」と心に決めていましたが、思いがけずDJとして参加させていただくこととなり、感激で胸がいっぱいになりました。

フェスの2日間は、観客として、DJとして、想像を遥かに超える感動を得ることとなりました。

大小のステージでは幅広い世代のミュージシャンがHMFならではのルーツ・ミュージックをはじめ、様々なジャンルの音楽を演奏していました。新しい音楽との出会いは、いくつになっても嬉しいものです。

また、美しい自然の中で奏でられた音は木々の生命力と共鳴し、そこに込められた感情が、私の心と身体により力強く伝わってきました。まさに時空を超えて音楽と繋がる感覚です。
涙がこぼれました。

DJブースにも、幅広い世代のお客様が訪れ、「今かけている曲は何ですか？」「レコードジャケットの写真を撮って良いですか？」
「この曲、カッコいいですよね」などと声をかけていただきました。

なかでもとっておきの思い出は、私より少し先輩の女性が満面の笑で「この曲大好きなの、私、このアルバムは全曲歌えるわ」と、
「John Miller Plays GeorgeGershwin」のアルバムから「NICE WORK IF YOU CAN GET IT」をフルコーラスで歌ってくれたこと。この瞬間の幸せな気持ちは一生の宝物です。

他にも多くの出会いと感動があったのですが、今回はこのへんで。

17年ぶりに復活した「ハイドパーク・ミュージック・フェスティバル」。出演者もお客様も、世代を越えて楽しめる居心地の良いフェスでした。

これからも、この狭山の地で音楽の魅力と感動を伝え続けてください。また参加できることを楽しみにしております。

ありがとうございました。

朗（Aki ） DJ／選曲者

朗（Aki）DJ／選曲者
レコードショップ芽瑠璃堂Manager。オールジャンルのVinyl Records を巧みに組み込み、空間をオーガニックで心地よいグルーヴで包み込む女性DJ。関東近郊で数多くのLIVEやイベントで活動中。